テニスの技術でレベル分けをしていないジュニアクラスのお話です。
そういうクラスだと、同じ学年や年齢であっても1年ほど担当するとクラスに習熟度的な差が生まれてきます。今日のクラスはその中でも習熟度がとても高いクラスでした。今日が年度の最終レッスンということでまとめ的な内容になりました。サーブの練習に入る前に子供たちを前に立たせて私がサーブを見せながらひっかけ問題を出しました。
「ラケットとボールが当たるとき、コーチはどっちを見ているでしょうか」
「打点だと思う人」
「それとも打っていきたい方向だと思う人」
オチとしてはどっちかに手を上げさせといて「答えは両方でした」とひっかけようとしていたのです。しかし、子供たちはどちらも手を上げずに「上を見てた」「どっちも見てない」などなどと二択問題なのにそれ以外の答えを口々に発言しはじめました。
その後サーブの打ち込み練習をして、私が「はい終了!」と声をかけたら、ある男の子が「いっつも俺が打とうと思ってるときに終わるわ」とつぶやきました。なるほどねと思いました。その男の子はサーブがクラスで一番良く、サーブ練習の終わるタイミングというのは、どちらかというと気になる子やサーブが苦手な子をチェックしたときというのが多く、サーブが得意な男の子をチェックして練習を終了するということが少ない傾向に気づいていたのかもしれません。また、ボールカゴの配置などで今日はサーブなのかスマッシュなのかということに多くの子が気づきます。つまり重要なことは、傾向から法則に格上げするということを自然に知っている子が多いのです。
そして、ラリー練習中のことです。ある女の子がネットの向こうで何かを言っています。「〇〇ちゃんなに?」って私が聞くと「いつもよりコーチのネットミスが多い」と言われてしまいました。思わず笑ってしまいましたが、子供たちは本当にすごいところまで見ています。私は子供たちを見ていると思っているのですが、それ以上に子供たちはコーチを見ているのかもしれません。そんな誰もが気づきそうで気づかないところに気づくということは、要点をしっかりと捉えているのだと感じました。
知識や経験といったものは大人の方が上なのかもしれませんが、ものごとの見方、捉え方というのは明らかに子供の方が上なのでしょう。シンプルに素直に見るというのはやはり大人にとっては難しいことなのでしょう。
子供は簡単にできるけど大人が難しいこととして
『第三の選択』
『法則に気付く』
『シルエットで見れる』
結局行き着くところは頭の良し悪しとかじゃなく、やはり見方、捉え方なのでしょう。